F1山田さん

詳しくないけどF1好き。キミ・ライコネン、角田裕毅を応援。そのほか雑記もいろいろ書いてるブログです。

【F1の醍醐味】1990年メキシコGPが最高に面白かった5つの要素

こんにちは。2020年F1が延期となって早1ヶ月が経ちます。

未だに開催の目処が立たず、キミの最多出場記録、フェルスタッペンの最年少チャンピオンという2大楽しみが奪われつつある現実に、ただただ呆然とするばかり。

あ、キミさんはまだチャンスあるのか。チームが存続すればだけど…汗

今はただただ、この状況がいち早く収束して正常な日々が戻ることを願い、自分がやれることをやるのみです。

f:id:fumi2020:20200418214739j:image

さて、久しぶりの記事ですが、表題の通り1990年のメキシコGPについて取り上げます。

このレースを簡潔にまとめると、予選13位のアラン・プロスト(フェラーリ)がタイヤを労わりながら着実に順位を上げ、ついには首位アイルトン・セナ(マクラーレン ホンダ)をも捕らえて大逆転勝利を飾るというものでした。

f:id:fumi2020:20200418214827p:image

当時小学生だった私は、フジテレビの用意した「脚本」どおり、盲目的にセナを応援していたわけで、その時は面白くも何ともない不愉快なレースだったのです。

ところが、今あらためて振り返ってみると「最高に面白い」と思えるのだから、人の考えなんて分からないものです。

そこで今回は、なぜこの1990年メキシコGPが面白かったのか、「5つの要素」に基づいて掘り下げていきます。

当時の雰囲気が分かるレース動画も紹介していくので、最近F1が好きになった方も楽しんで頂けたら嬉しいです。

タイヤに厳しいマクラーレン、タイヤに優しいフェラーリ

f:id:fumi2020:20200419002744p:image

過去2年間をセナ、プロストという2大巨頭、そしてホンダエンジンの優位性に依存してきたマクラーレンは、この年シャシー開発の面での遅れを露呈します。

それが如実に現れたのがこのメキシコGP。

バンピーな路面にMP4/5Bは上手く対応できず、ハンドリングに難を抱え、特に決勝ではタイヤマネージメントに大きな影を落とします。

一方、プロスト加入で上昇気流なフェラーリは、641/2の優れたハンドリングと前年から投入したセミオートマチックトランスミッションを武器に、ドライバビリティという点で優位に立ちます。

この相反する2チームのマシン特性、そして荒れたロドリゲスサーキットの路面が大逆転ドラマを演出した大きな要因だといえます。

タイヤ交換しなかったセナ

f:id:fumi2020:20200419005738p:image

結果から書くと、冒頭で触れた通りプロストに抜かれたセナは、その後マンセルにも抜かれ、挙げ句にはタイヤバーストでリタイア(リザルト上は20位完走)してしまいます。

一時、プロストとは20秒近くもの差があったにも関わらず、なぜタイヤ交換しなかったのか?

当時はピットロードの速度制限はなく(!)、仮にプロストに先行されても、差が僅かであればパワー面で優位だっただけに逆転も十分あり得たと考えられます。

この疑問の答えは以下の2点だったようです。

  • セナは不調を訴えていたが、無線の不調でチーム側に伝わっていなかった
  • 無線が通じた頃にはプロストが接近しており、ロン・デニスはステイアウトを指示

無線トラブルの件が事実であれば、この大逆転ドラマは実現せず、セナの印象的なリタイアも無かったのかと思うと、やはりこれも高地ロドリゲスサーキットが仕掛けた演出だといえるのかも。

予選よりも速いプロスト

f:id:fumi2020:20200419090207p:image

このレースの主役は間違いなくプロストでした。

予選13位、ホンダ優位と思われたコースレイアウト、そして2連勝中のセナ…スタート前はプロスト本人ですら大逆転を予想するのは難しかったのではないでしょうか?

次の記録は、プロストの予選と決勝のベストタイムを比較したものです。

  • 予選 1:19.026 (13位)
  • 決勝 1:17.958 (FL) ※予選6位に相当

きました。これです。これがマクラーレンのタイヤ問題と並び、ドラマを演出した要素です。

決勝レースで、自身の予選タイムよりも1秒以上も速く走れたらそりゃ追い上げも可能なわけで。

そもそも教授、予選失敗してたんじゃね?

実際、決勝に向けて大幅にセッティングを変更した(直線重視のレスダウンフォースへ)との情報もあります。

予選の失敗×決勝のセッティング&プロストのタイヤマネージメント、この「掛け算」がよりレース展開をドラマチックなものにしたと結論付けます。

ここでこのメキシコGPの動画を見ていただきたい。

動画はセナが単独首位走行中から始まるものの、既にタイヤに問題を抱えているのが分かります。

そして背後からは、自身の予選タイムを上回る変態プロストが迫ってきて、ついには首位交代する同レース最大のハイライトシーンが視聴できます。

 


F1 1990-Mexico Senna vs Prost vs Mansell メキシコ セナvsプロストvsマンセル

 

マンセルvsベルガー

ここまでプロストとセナの首位交代にフォーカスして伝えてきましたが、このレースはこれだけではありません。

彼らのチームメイト、マンセルとベルガーも名演に一役買っています。

速いけどムラっ気の強いマンセル、同じく速いけど何かと残念なベルガー、この2者の個性が分かりやすくぶつかり合った場面も動画で紹介します。

簡単に動画の前説を。

プロストに続きセナを抜いて2位に浮上したマンセル。そこで「どうせプロストには敵わん」とヤル気を失くしたのか凡ミスで後退。

一方ベルガーはポールポジション(高速コースだとセナをも凌ぐ速さ!)からスタートするも、あっという間にタイヤを壊しwピットインで後退。

動画では、その後の2人のマッチアップから始まりますが、やはりここでもベルガーはタイヤ壊してますw

 


F1 1990-Mexico Berger vs Mansell

 

今とは異なるF1

さてさて、ここまで1990年メキシコGPの醍醐味を紹介してきましたが、最後にお伝えしたいことがあります。

それは今では見ることが無くなった当時ならではの光景、私などからすると「思い出フィルター」ってやつが味わい深いスパイスとして利いています。

f:id:fumi2020:20200419104248p:image

仕事そっちのけでフェラーリ快走を喜ぶマーシャル達。

おいおいw

マーシャルが無意味に散らばりレース観戦する姿など今では考えられません。

ただ、この人達もレースが大好きで、仕事ということを忘れて夢中になってる姿が人間らしくて良いんですよ。

そして、もう一つこの画像で今ではあり得ない光景、それは放置されたままのマシン達。

当時は放置プレーなんて当たり前だったのです。しかも映ってるマシンが中嶋悟ティレル鈴木亜久里のラルースというのが、日本人として何とも香ばしいw

レース後のインタビューで珍しくキレ気味の中嶋。

珍しく電気系を理由にしなかった亜久里

f:id:fumi2020:20200419110543p:image

当時のフェラーリ監督チェザーレ・フィオリオという喜劇役者も忘れてはいけません。

「どや、俺たちのフェラーリが1-2やで!がははっ」

フェラーリ1-2体制となり、ご満悦なフィオリオ。

f:id:fumi2020:20200419110757p:image

その直後、感極まって号泣。

もちろんレースはまだ終わってません。

周りのスタッフも笑ってます。いかにもイタリアンな光景。

f:id:fumi2020:20200419111005j:image

泣き笑いしている間にマンセルがコースアウト。

我に帰り、凍りつくフィオリオ。

「・・・・」

だから言わんこっちゃない。

今でいうと顔芸、机芸が得意なトト・ヴォルフが最も近い存在かもしれません。泣き芸が加われば立派な後継者です。

 


トトヴォルフ 机

まとめ

以上、1990年メキシコGPが面白かった件について、5つの要素を挙げて書きました。

1.タイヤに厳しいマクラーレン、タイヤに優しいフェラーリ

マシン特性の違いがタイヤマネージメントに影響を及ぼし、大逆転劇の引き金となりました。

2.タイヤ交換しなかったセナ

ドラマチックな展開の舞台裏に無線トラブル、そしてステイアウトというマクラーレンの判断がありました。

3.予選よりも速いプロスト

予選で下位に沈んだプロストの決勝ペースが変態的に速かったという、そもそも予選を失敗していただけ説。

4.マンセルvsベルガー

首位争いに決着付いた後も、名脇役による名バトルが展開されました。

5.今とは異なるF1

監督からマーシャルまで、個性豊かなキャラクターが当時は多くいました。私からすれば「思い出フィルター」ってやつですが、最近のF1ファンからみても「ありえねーw」という感じで楽しめる要素だと確信してます。

 


F1 LEGENDS F1 グランプリ 1990〈3枚組〉 [DVD]