F1山田さん

詳しくないけどF1好き。キミ・ライコネン、角田裕毅を応援。そのほか雑記もいろいろ書いてるブログです。

思い出のF1マシン マクラーレンMP4/18

マクラーレンMP4/18は、「幻のF1マシン」としてF1ファンの間で語り継がれている、非常に興味深い車です。

2003年シーズンに向けて開発されながら、一度も実戦投入されることがなかった、その詳細を深掘りします。

マクラーレン MP4/18の概要

開発の背景と革新的なデザイン

MP4/18は、当時のテクニカル・ディレクター、エイドリアン・ニューウェイの思想が色濃く反映された、非常にアグレッシブで革新的なデザインが特徴でした。

  1. 極端に細いノーズ
    • 最大の特徴は、非常に細く、かつ低い位置に配置されたノーズでした。
    • 目的は、空気抵抗を最小限に抑えつつ、ノーズの下に大量の空気を流し込み、強力なダウンフォースを発生させることでした。
    • そのノーズ下の曲線は、フェラーリF2001の「アリクイ・ノーズ」をさらに過激にしたような形状と言われています。
  2. 湾曲したフロントウィング
    • 冬のテストから試みられていた「波型」フロントウィングを採用し、他チームよりもかなり湾曲させていました。
    • これは細いノーズと相まって、空気を効率よくホイールの内側へ流し込む狙いがありました。
  3. 極限まで絞り込まれたサイドポッド
    • サイドポッド後端は、フェラーリF2003-GAに匹敵するレベルまで極限的に絞り込まれ、リアサスペンション周辺がむき出しに見えるほどでした。
    • これにより、車体後方へ大量の空気を流し、空気抵抗の低減と最高速の向上を目指しました。
    • リアエンドはカウルがなくなり、サスペンションが露出したデザインも特徴的でした。

実戦投入されなかった理由

これほど革新的なデザインを持っていたにもかかわらず、MP4/18がレースで走ることなく終わった最大の理由は、安全基準のクリアにありました。

  • クラッシュテストの不合格:
    • 最大の特徴であった極端に細いノーズが災いし、F1レギュレーションで定められているクラッシュテスト(安全基準)に合格することができませんでした
    • ノーズを何度か修正して再テストに臨みましたが、最後まで合格に至らなかったとされています。
  • MP4/17Dでの参戦
    • MP4/18の投入が遅れた、あるいは断念されたため、マクラーレンは前年型マシンであるMP4/17に改良を加えたMP4/17Dで2003年シーズンを戦いました。
    • 皮肉にも、このMP4/17Dは開幕から好調で、デビッド・クルサードが開幕戦で優勝、キミ・ライコネンがドライバーズ・タイトル争いに絡む活躍を見せました。

後世への影響

MP4/18は実戦デビューを果たせませんでしたが、その革新的な空力思想は、後のマクラーレンのマシンに引き継がれました。特に、ニューウェイが追求したアグレッシブなエアロダイナミクスは、その後のF1マシンの設計トレンドに大きな影響を与えたと言えます。

 

「もしMP4/18がクラッシュテストをクリアし、予定通りシーズン中盤に投入されていたら、2003年シーズンのタイトル争いはどうなっていたか」という「たられば」をファンに抱かせ続ける、伝説的なマシンです。